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建設アスベスト訴訟全国弁護団について

建設アスベスト訴訟
全国弁護団とは

建設アスベスト訴訟全国弁護団(略称)は、国や建材メーカーに対して最高裁判決を勝ち取った弁護団を中心とし、すべてのアスベスト被害者への謝罪と完全な賠償、被害の根絶を求めて闘う弁護団の集まりです。

2008年に初めて建設アスベスト訴訟を提起した東京弁護団、神奈川弁護団、2011年に提訴した北海道弁護団、京都弁護団、大阪弁護団、九州弁護団の6弁護団に、2020年以降、志を同じくする埼玉弁護団、東北弁護団、関西弁護団、東日本弁護団、関東弁護団、岡山弁護団、東海弁護団が加わり、2022年5月現在13の弁護団で構成されています。

建設アスベスト訴訟全国弁護団会議 共同代表

弁護士 小野寺利孝(首都圏建設アスベスト東京訴訟弁護団団長)
弁護士 西村隆雄(首都圏建設アスベスト神奈川訴訟弁護団団長)
弁護士 村山晃(関西建設アスベスト京都訴訟弁護団団長)
弁護士 村松昭夫(関西建設アスベスト大阪訴訟弁護団団長)

建設アスベスト訴訟
全国弁護団の特長

  • 最高裁勝訴の実績

    建設アスベスト訴訟で、国や建材メーカーの責任を認める最高裁判決を勝ち取りました。

  • 国との継続協議

    国と基本合意を締結し、継続協議を行う「建設アスベスト訴訟全国連絡会」の一員です。

  • 完全な補償基金制度の創設を

    建材メーカーも含めた「建設アスベスト被害補償基金制度」の創設をめざしています。

  • 補償・救済だけでなく

    治療体制の拡充、労災認定基準や石綿救済法の改正、飛散防止対策にも取り組んでいます。

  • 最新情報・専門家との連携

    常に最新の情報に基づき、医療機関や研究者とも連携して最先端の議論をしています。

  • 知恵と力の結集

    すべてのアスベスト被害者が救済されるよう、あらゆる可能性を追求します。

建設アスベスト訴訟とは

建設アスベスト訴訟とは、建設作業に従事してアスベスト(石綿)にばく露し、中皮腫、肺がん、石綿肺等にかかった被害者とその遺族らが、国や建材メーカーを被告として損害賠償を求めた訴訟です。

私たちは、10年以上にわたって建設アスベスト訴訟に取り組み、全国で1000人を超える建設アスベスト被害者や遺族とともに、国や建材メーカーの責任を明らかにしてきました。

建設作業者は最大の被害者

日本では、1930年から2005年までに約1000万トンのアスベストが輸入され、その7~8割が吹付材、石綿スレートボードなどの石綿建材に使用されてきました。

そのため、アスベストによる健康被害は、大工・内装工、電工、左官、配管工、塗装工など建設作業者に集中して発生しています。アスベストの病気で労災認定を受けた人の50%以上は建設作業者です。毎年数百人規模で増え続けており、2019年度までの建設作業者の労災等認定者数は累計約1万人。国は、2050年頃までに合計3万人を超える被害が発生すると推計しています。

国と建材メーカーの責任

建設作業者に多くの被害が出た原因は、国や建材メーカーにあります。
建材メーカーは、アスベスト建材を売る以上、作業者に対して危険性を警告する義務があります。
また、国は、メーカーに警告を義務付けるとともに、現場では、作業者に防じんマスクを着用させるなどの規制を行うべきでした。
国や建材メーカーがこのような義務をきちんと果たしていれば、現場で働く方々は、防じんマスクをつけるなどして、中皮腫や肺がんなどの重い病気にかからずに済んだのです。

国は、規制や対策を怠り、石綿建材の使用を促進

国は、労働安全・環境保全よりも、経済・産業の発展を優先させ続け、アスベスト規制を遅らせてきました。アスベストの危険性は明らかなのに、建設作業者の命や健康を守るための規制を行わないまま、建築基準法で石綿建材の使用を義務付け(不燃材・耐火構造)、建材メーカーと一体となって石綿建材の普及促進を図り、被害を拡大させました。

建材メーカーは、危険性を隠して、利潤追求を最優先

建材メーカーは、古くから危険性を認識し、いち早く代替品の開発に着手していたにもかかわらず、自らの利潤追求を優先させ、長期にわたって大量の石綿建材を製造・販売し続けました。のみならず、業界ぐるみでアスベストの有害性を否定するキャンペーンを繰り返し、意図的にアスベストの危険性を隠しながら、被害を拡大させました。

建設アスベスト訴訟の経過

そこで、全国の被害者が、国や建材メーカーに損害賠償を求めて裁判に立ち上がりました。
2008年5月16日に東京1陣訴訟が東京地裁に提訴されたのを皮切りに、同年6月に神奈川1陣訴訟、2011年に北海道、京都、大阪、九州の1陣訴訟が起こされ、以降、この6訴訟の原告団・弁護団が中心となって、10年以上に及ぶ裁判を、組合など支援団体とも力を合わせて闘ってきました。
後に提訴した東北、埼玉、関西、東日本の各訴訟を含め、全国で提訴した被害者総数は約1000人。すでに7割以上の被害者が亡くなっています。

建材メーカーの責任と一人親方も含めた国の責任が大きな課題でしたが、各地で判決を重ねるごとに前進し、ついに2021年5月17日、東京、神奈川、京都、大阪の1陣訴訟で最高裁判決を勝ち取りました。

大きな成果を獲得

画期的な最高裁判決

訴訟の様子

2021年5月17日、最高裁は、国や建材メーカーの責任を明確に認め、原告に慰謝料(賠償金)の支払いを命じました。

慰謝料(賠償金)は、例えば、アスベストの病気で亡くなった方の基準慰謝料額は2500万円から2700万円と、高裁判決によって判断が分かれたまま最高裁で確定しました。

一人親方に対する国の責任も認める

最高裁は、国が、1975年(吹付作業の場合は1972年)10月1日から2004年9月30日までの間、屋内作業者について、防じんマスクの着用義務付けと警告表示・警告掲示の義務付けを怠った違法を認めました。
また、国が、一人親方等は「労働者」ではなく病気になったのは自己責任だと主張していたのに対し、最高裁は、安衛法は一人親方等も保護する趣旨だとして、これを救済しました。

建設現場の実態を直視し、かつ、安衛法の趣旨・目的を重視し、一人親方等を労働者と区別せず広く救済する最高裁判決を獲得したことは歴史に残る大きな勝利です。

国の責任が認められた主な職種

大工(墨出し、型枠を含む)、左官、鉄骨工(建築鉄工)、溶接工、ブロック工、軽天工、タイル工、内装工、塗装工、吹付工、はつり、解体工、配管設備工、ダクト工、空調設備工、空調設備撤去工、電工・電気保安工、保温工、エレベーター設置工、自動ドア工、畳工、ガラス工、サッシ工、建具工、清掃・ハウスクリーニング、現場監督、機械工、防災設備工、築炉工

※最高裁判決では屋根工に対する国の責任が否定されましたが、作業内容や作業現場によっては給付金の対象となる可能性があります。また、上記以外の職種でも給付金を受け取れる可能性があります。詳しくは、ご相談ください。

建材メーカーの共同不法行為責任

最高裁は、建材メーカーが、警告もせずに危険な石綿建材を製造・販売したこと(警告表示義務違反)を違法とし、被害者ごとに、一定の高いシェアを有していた建材メーカーの共同不法行為責任(連帯責任)を認めました。

また、被害者は、長期間、多数の建設現場で、多種多様な石綿建材を取り扱ったことから、どの石綿建材からの粉じんが病気発症の主要な原因となったのか(個別因果関係)を立証することが極めて困難でした。そのため、最高裁は、シェアを用いた確率計算を考慮した立証方法を認めました。この点も、建設アスベスト被害の特質をふまえた画期的な判断です。

なお、建材メーカーの警告表示義務の始期・終期は高裁判決によって異なっていますが、概ね1975年頃からの違法が認められています。

責任が確定した建材メーカー11社

エーアンドエーマテリアル、神島化学工業、日鉄ケミカル&マテリアル、大建工業、太平洋セメント、ニチアス、日東紡績、バルカー、
ノザワ、エム・エム・ケイ、ケイミュー

菅総理の謝罪と国との基本合意

最高裁判決の翌日(2021年5月18日)、菅義偉総理大臣は、首相官邸に原告らの代表を招いて謝罪しました。
その後、原告団・弁護団・組合など支援団体の代表ら「建設アスベスト訴訟全国連絡会」と国(厚生労働省)が協議して基本合意書を締結。これを受けて、6月9日に「建設アスベスト給付金法」が成立しました。

国との基本合意では、係属中の訴訟の和解基準や、①石綿被害を発生させないための対策、②石綿関連疾患の治療・医療体制の確保、③被害者に対する補償に関する事項について、「建設アスベスト訴訟全国連絡会」と継続的に協議を行うことも約束しています。

謝罪の様子
合意の様子

建設アスベスト給付金制度の創設

最高裁判決を受け、短期間で建設アスベスト給付金制度が創設されたことは、画期的です。

建設アスベスト給付金制度(国からの給付金)を見る

「給付金」という名称ですが、国の責任を前提とした「慰謝料」(賠償金)です。国には、加害者として、対象となる被害者全員を簡易・迅速に救済することが求められています。

残された課題

建材メーカーの不当な対応

国は、最高裁判決後、給付金制度を創設して被害者救済に乗り出しているのに対し、建材メーカーは、不当にも、未だに訴訟の解決にも被害者の救済にも背を向けています。
そのため、建材メーカーから、「慰謝料」(賠償金)を受け取るためには、損害賠償請求訴訟を起こすことが必要です。

私たち弁護団は、今後も、建材メーカーの責任を追及し続け、建材メーカーを含めた「建設アスベスト被害補償基金制度」の創設による、すべての建設アスベスト被害者の簡易・迅速な救済を目指します。

最高裁判決の問題点

屋外作業者の問題

最高裁判決は、屋内作業者については救済しましたが、もっぱら屋外作業に従事した者(屋根工)との関係では、国・建材メーカーいずれの責任も否定しています。
しかし、屋外作業者も、屋内作業者と同様に建設現場で石綿にばく露したからこそ病気になりました。同じように苦しみ、命を奪われた被害者の間に線引きをするような司法判断は是正されるべきです。また、国は、建設アスベスト給付金制度の運用において、作業実態に即した柔軟な認定を行うべきです。

責任期間の問題

判決が、国の責任期間を1975年10月から、建材メーカーの責任期間を同年1月からと限定した点も問題です。アスベストの危険性に関する医学的知見の確立や建設現場でのアスベスト被害の実態からすれば、遅すぎます。

私たち弁護団は、最高裁判決で否定された被害者も含め、すべての建設アスベスト被害者が救済されるよう、あらゆる努力を続けます。

私たちの要求-
すべてのアスベスト被害者の
救済と根絶へ向けて

「こんな苦しみは、自分たちで終わりにしてほしい」―― これが建設アスベスト訴訟に立ち上がった被害者・遺族の願いです。
私たち弁護団は、すべてのアスベスト被害者の救済と根絶へ向けて、以下の要求を掲げ、その実現に向けて取り組んでいます。

1. 建設アスベスト被害補償基金制度の創設

2021年6月9日に国が創設した「建設アスベスト給付金制度」は、あくまで国の責任部分だけを制度化したものです。これを改正するなどして、国だけでなく、建材メーカーらにも資金を拠出させ、被害者が完全な救済を受けられる補償基金制度を実現しなければなりません。また、最高裁判決では認められなかった屋外作業者などの救済も必要です。

2. 労災認定基準の見直しと石綿救済法の抜本改正

喉頭がんや卵巣がんなどをアスベストによる労災補償の対象疾病に加えるとともに、肺がんや石綿肺の労災認定基準について大幅な見直しを求めます。また、石綿救済法(石綿健康被害救済法)を抜本改正し、公健法(公害健康被害補償法)に準じた給付内容・水準とすべきです。

3. 治療法の研究と医療体制の拡充

中皮腫や石綿肺などアスベスト関連疾患は、治療法が確立されておらず、根治療法のない不治の病とされています。また、専門医が少なく診断が遅れるケースもあります。治療薬の開発と早期の認可、呼吸器系疾患の専門医の育成などに国の手厚い支援を求めます。さらに、一人親方等を含めたすべてのアスベストばく露者に健康管理手帳を交付すべきです。

4. 建物解体・改修時の万全な石綿ばく露・飛散防止対策の確立

2030年前後には石綿建材が使用された建物が解体のピークを迎えます。建設作業者だけでなく周辺住民、建物利用者を含めた誰もが新たに石綿ばく露することのないよう、資格ある第三者による石綿建材の調査、除去工事における最終確認の義務付けなど、アスベスト関連法規の大幅な見直し・強化が必要です。アスベスト被害の根絶は私たちの最終的な目標です。