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改正石綿救済法が成立、労災時効救済の請求期限10年延長、重要な付帯決議も

2022.06.14

関連情報

2022年6月13日、参議院本会議で改正石綿健康被害救済法が全会一致で可決・成立しました。


○NHK:改正アスベスト健康被害救済法 参院本会議で可決・成立


アスベストの病気で亡くなり、労災申請をしないまま5年以上経過して、労災保険の請求権が時効にかかった遺族に「特別遺族給付金」(原則240万円の年金もしくは1200万円の一時金)を支給する、石綿救済法による労災時効救済制度。アスベストの病気は、何十年も前の仕事(石綿粉じんばく露)が原因であることも多いため、遺族が労災かも知れないと気付いた時には、すでに亡くなって5年以上経っていることも珍しくありません。


同制度の請求期限は、今年3月27日で切れていましたが、今回の改正法で10年延長されることになりました。


また、今回の改正法では、中皮腫治療研究への基金活用、指定疾病の追加、給付水準の見直しなど、5項目の付帯決議(第208回国会参議院環境委員会)も採択されました。


石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議

政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。


一、石綿による健康被害に対する隙間のない救済の実現に向け、石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく救済措置の内容について、改めて効果的な広報を行い周知の徹底に努めること。また、本法に基づく特別遺族弔慰金等の支給の請求期限の延長及び特別遺族給付金の対象者の拡大によって対象となると見込まれる者に対しては、丁寧な情報提供を行うこと。


二、国は、石綿による健康被害者に対して最新の医学的知見に基づいた医療を迅速に提供する観点から、中皮腫に効果のある治療法の研究・開発を促進するための方策について石綿健康被害救済基金の活用等の検討を早期に開始すること。


三、石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく救済制度が、個別的因果関係を問わずに重篤な疾病を対象としていることを踏まえ、労働者災害補償保険法において指定疾病とされている良性石綿胸水、また、石綿肺合併症についても、指定疾病への追加を検討すること。


四、石綿にばく露することにより発症する肺がんについては、被認定者数が制度発足時の推計を大幅に下回っている現状を踏まえ、認定における医学的判定の考え方にばく露歴を活用することなどについて検討すること。


五、既に前回の施行状況の検討から五年が経過していることを踏まえ、本法附則の規定による見直しのほか、改正後の法律について、速やかに施行状況の検討を実施すること。その際、療養者の実情に合わせた個別の給付の在り方、療養手当及び給付額の在り方、石綿健康被害救済基金及び原因者負担の在り方等についても検討を行うこと。


右決議する。