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関西建設アスベスト京都2陣訴訟、大阪高裁で建材メーカーと和解成立

2026.04.09

建材メーカー訴訟

2026年4月8日、大阪高裁第4民事部(森木田邦裕裁判長)において、関西建設アスベスト京都2陣訴訟の被害者30名中25名について、建材メーカー5社との和解が成立しました。

提訴から9年余り、昨年8月の東京、大阪での高裁和解に続き、全国で4番目の集団的な和解となります。


○共同通信:建設石綿吸引、京都2陣訴訟和解 5社が3億円超支払い、大阪高裁

○日本経済新聞:建設アスベスト京都訴訟、メーカー5社が3億円超支払いで和解

○産経新聞:設石綿訴訟で建材メーカー謝罪 大阪高裁、解決金3・3億円で和解「意義極めて大きい」

○MBSニュース:建設アスベストめぐる訴訟 建材メーカー5社が元労働者や遺族ら37人と和解「ようやく主人に報告できる」 集団和解では全国4例目

○ABCニュース:建設現場めぐるアスベスト訴訟 建材メーカー5社が総額3億超支払うことなどで原告ら25人と和解成立 「死亡や甚大な身体的・精神的苦痛に心より哀悼とお見舞いの意を表す」 大阪高裁

○関西テレビ:建設現場のアスベストめぐる訴訟 大阪高裁で和解成立 賠償の対象とならなかった人は最高裁に上告へ


関西建設アスベスト京都2陣訴訟の高裁和解について(声明)(pdf)



声  明

関西建設アスベスト京都2陣訴訟の高裁和解について

2026(令和8)年4月8日 

関西建設アスベスト京都訴訟原告団

   同           弁護団

全京都建築労働組合

関西建設アスベスト訴訟統一本部

1 はじめに

  本日、関西建設アスベスト京都2陣訴訟に関し、控訴審(大阪高等裁判所第4民事部〔森木田邦裕裁判長〕)において、一審被告建材メーカーらとの間で和解が成立した。本和解は、2025(令和7)年7月31日に裁判所が和解案を提示した後、8ヶ月あまりにわたって和解協議が進められた結果、一審原告及び一審被告双方が、既に多くの被災者が亡くなっていることなど現下の過酷な実態を直視して厳粛に受け止め、紛争の早期解決の観点から和解するに至ったものである。

  2021(令和3)年5月17日に、東京1陣・神奈川1陣・京都1陣・大阪1陣の建設アスベスト4訴訟について、最高裁が国と建材メーカーの責任を断罪する判決を言い渡したことを受けて、国は被害者らに謝罪するとともに建設アスベスト給付金制度を創設して被害救済に足を踏み出した。ところが、建材メーカーは,それ以後も各地の訴訟で無益な争いを続けたために、多くの被害者が解決の日を見ることなく無念の死を遂げることとなった。そうした状況の下、昨年8月7日に東京高裁で東京1陣訴訟、同2陣訴訟について、同月8日には大阪高裁で大阪2~3陣訴訟について、それぞれ建材メーカーとの間で集団的な和解が成立し、早期解決に向けた流れが生まれた。本和解は、それを受けた全国で4番目の集団的和解事案となる。

2 本和解の意義

(1)本和解では、一審被告建材メーカー5社(エーアンドエーマテリアル、ニチアス、太平洋セメント、エム・エム・ケイ、ノザワ)が被災者30名中25名に対し、「石綿関連疾患による甚大な被害を生じさせたことについて深くお詫び」した上で、解決金として総額3億3000万円を支払うことが合意された。

(2)本和解が、2023(令和5)年3月23日の京都地裁判決(以下「原判決」という。)で請求が棄却された被災者1名(塗装工)についても救済を認めた点は、建設現場の実態を正しく捉えたもので、前進面と言える。

(3)また、裁判所から示された当初の和解案骨子では、「被災者らが、長期間にわたって建設作業に従事する中で、多数の企業(上記責任企業に限られない)が製造・販売した石綿含有建材を取り扱うことにより、累積的に石綿粉じんにばく露した結果、重篤な石綿関連疾患を発症するに至ったという事案であることに鑑みれば、・・・関連する業界全体で被災者に対する被害回復に取り組むことが求められるというべきである」として、責任が認められなかった11社に対しても、一定の見舞金の支払が求められた。これは裁判所が建設アスベスト被害の実相を正しくとらえたものであり、高く評価することができる。ところが11社が不当にもこれを拒否したため、結果的には見舞金の支払を含む和解は成立しなかったが、それら11社を含む全ての一審被告建材メーカーらが、被災者らの「石綿関連疾患を原因とする死亡や甚大な身体的・精神的苦痛に対し、心より哀悼とお見舞いの意を表す」旨の文言が盛り込まれたのは、業界全体として社会的責任を踏まえたものと言える。

(4)本訴訟は、2017(平成29)年1月24日の提訴後、既に約9年が経過したが、被災者30名のうち9割の27名が死亡(提訴後死亡者9名)という現実が物語るように、その被害は極めて深刻である。そうした過酷な実態を正面から受け止め、裁判所の具体的な和解案の提示と粘り強い和解協議を経て、当事者双方が被害の早期救済の一点で一致し、集団的な和解解決に至った意義は大きい。

 現在、高裁段階だけでなく、東京・埼玉・京都の各地裁でも和解協議が進行しているが、本日の和解成立は、早期解決に向けたそうした全国的な流れを後押しするものといえる。

   その意味で、裁判所より、「同種の訴訟を始め関連する事案において、双方が今後とも引き続き、解決に向けた着実かつ真摯な努力を継続することを強く期待する」との所感が示されたことの意味は大きい。我々は建材メーカーらに対し、全国で闘われている全ての建設アスベスト訴訟で早期和解解決に応じるよう強く求める。

3 残された課題

  一方で、本和解では、解体工の被災者3名、型枠大工の被災者1名及び昭和50年以降の石綿ばく露がないとされた大工の被災者1名について、原判決と同様、一審被告建材メーカーらの責任が否定された。かかる判断は、2021年の上記最高裁判決が、解体作業従事者に対する警告義務を否定するとともに屋外作業の危険性に関する予見可能性を否定したこと等がその元凶となっている。

  我々はそれが誤りであることを具体的な証拠も提出して繰り返し主張してきたが、それが容れられなかったのは極めて遺憾である。一審原告らは紛争の早期解決のために和解案を受け入れたものの、上記各被災者らについて一審被告建材メーカーらの責任が認められないことは理不尽であり、救済に余計な線引きを持ち込むべきではない。建設現場で働いて被害を被った者は等しく救済されるべきである。我々は、解体作業や屋外作業従事者らに対する建材メーカーらの責任を認めさせ、全ての被災者の救済をかちとるため、引き続き最高裁での闘いを続ける決意である。

4 さいごに

  本和解で責任が認められた5社はもとより、石綿含有建材を製造販売していた全ての建材メーカーらは、業界としての社会的責任も踏まえて、屋外作業者も含む全ての建設アスベスト被害の早期全面救済に向けて「建設アスベスト被害補償基金制度」(仮称)に参加し、資金拠出をすべきである。

  我々は、全国の被災者、支援者、市民らと連帯して、全てのアスベスト被害の救済と根絶のため、引き続き奮闘する決意である。

                                      以上