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京都3陣訴訟でも地裁段階で和解成立(声明)

2026.07.24

建材メーカー訴訟

2026年7月17日、京都地裁第2民事部(菊井一夫裁判長)において、関西建設アスベスト京都3陣訴訟の被害者1名(タイル工)について、建材メーカー8社(有責企業はノザワ1社)との和解が成立しました。


1名・1社のみとはいえ、地裁段階で早期に和解が成立した意義は大きく、一歩前進です。


和解が成立しなかった被害者15名については、2026年9月25日に判決が言い渡される予定です。


○京都新聞:京都アスベスト訴訟 肺がん発症の原告1人の和解が成立 建材メーカーがおわびし、解決金を支払う

○京都新聞:石綿訴訟、一審で和解成立 京都第3陣、全国2例目

関西建設アスベスト京都3陣訴訟の地裁和解について(声明)(pdf)


声  明

関西建設アスベスト京都3陣訴訟の地裁和解について

2026(令和8)年7月17日 

関西建設アスベスト京都訴訟原告団

   同           弁護団

全京都建築労働組合

関西建設アスベスト訴訟統一本部

1 はじめに

  本日、関西建設アスベスト京都3陣訴訟(2022(令和4)年6月7日提訴)に関し、第一審(京都地方裁判所第2民事部〔菊井一夫裁判長〕)において、原告1名と被告建材メーカーとの間で和解が成立した。本和解は、2026(令和8)年1月30日に裁判所が和解案を提示した後、半年近くにわたって和解協議が行われた結果である。

  2021(令和3)年5月17日に、東京1陣・神奈川1陣・京都1陣・大阪1陣の建設アスベスト4訴訟について、最高裁が国と建材メーカーの責任を断罪する判決を言い渡したことを受けて、国は被害者らに謝罪するとともに建設アスベスト給付金制度を創設して被害救済に足を踏み出した。ところが、建材メーカーは,それ以後も各地の訴訟で無益な争いを続けたために、多くの被害者が解決の日を見ることなく無念の死を遂げることとなった。そうした状況の下、昨年8月以降、東京高裁や大阪高裁で建材メーカーとの集団的な和解が成立し、早期解決に向けた流れが生まれた。本年6月26日には東京三陣訴訟において地裁レベル初の和解が東京地裁で成立し、その流れは一層顕著なものとなっているが、本和解もそうした流れを受けた地裁段階では全国2番目の和解事案となる。

2 本和解の意義

(1)本和解では、被告建材メーカー1社(株式会社ノザワ)が被災者16名中1名(タイル工)に対し、「石綿関連疾患による甚大な被害を生じさせたことについて深くお詫び」した上で、解決金を支払うことが合意された。

(2)本和解により、地裁段階での和解成立は全国2番目、西日本では初の和解成立となった。1名のみかつ1社のみとはいえ地裁段階で早期に和解が成立したことは意義のあることであり、一歩前進と評価できる。今後も、具体的に和解協議が進められているさいたま地裁をはじめ各地でより早期の和解成立となることが期待される。

(3)もっとも、裁判所から示された当初の和解案骨子では、被災者16名中14名に対し、株式会社ノザワのほかに株式会社エーアンドエーマテリアル、太平洋セメント株式会社、ニチアス株式会社,株式会社エム・エム・ケイについても法的責任が存することを前提に和解金を払うべきとされたにもかかわらず、エーアンドエーマテリアルと太平洋セメントが和解を拒否し、ノザワも多くの原告との関係で和解を拒絶したことから、和解成立は極めて限定された部分にとどまった。

さらにその余の建材メーカー(ウベボード、クボタ、ケイミュー、神島化学工業、日鉄C&M、積水化学工業、DAIKEN、東レACE、日東紡績、バルカー及びパナソニック)についても、裁判所の当初の和解案骨子では「上記被告らの製造販売した石綿含有建材のシェアが10%以上であることの立証がないことを理由に上記被告らの損害賠償責任を否定したにすぎず、上記被告らに石綿含有建材を製造販売した道義的責任があることまでを否定するものではない。」「他方、本件被災者らは・・・石綿の危険性について知らされないまま石綿含有建材に由来する石綿粉じんにばく露したことにより肺がんや中皮腫にり患し、筆舌に尽くしがたい精神的苦痛を被ったものである。」「本件被災者の半数が亡くなっていることや原告らが置かれた状況にかんがみると、本件の早期解決が望ましいことは明らかである」として一定額の和解金を支払うべきとされたが、いずれも拒絶し、実現することはなかった。

これらの被告建材メーカーらの対応は「いのちあるうちの解決を」という原告らの切実な願いを踏みにじるものであり、同時に被害の実相を正しくとらえて早期解決を促した裁判所の姿勢とも相反するものであって、極めて不当なものというほかなく、私たちは強く抗議する。

3 判決と課題

  今回和解が成立しなかった原告については9月25日(金)午後2時から判決が言い渡される。そこでは改修解体作業者及び屋外作業者も含めて被告建材メーカーらの責任について判断が示されることになるため、原告らの新たな主張・立証を踏まえ、裁判所には全ての建設作業従事者を区別することなく全面的に救済する判決を出すことが求められている。

4 さいごに

石綿建材は2006年に全面禁止されるまで市場に流通していた。国交省の推計では石綿建材が使用されたと考えられる建築物のうち、戸建て住宅や木造の建築物を除いた建築物280万棟の解体のピークは2028年頃であり、少なくとも2060年頃までは解体が続く。石綿関連疾患が、長期間の潜伏期間を経て発症することからすれば、今世紀中は被害者が発生し続けるおそれがある。

本日の地裁段階での和解成立は1つの前進である。石綿含有建材を製造販売していた全ての建材メーカーらは、京都地方裁判所も言及する業界としての社会的責任も踏まえて、解体作業者や屋外作業者も含む全ての建設アスベスト被害の早期全面救済に向けて「建設アスベスト被害補償基金制度」(仮称)に参加し、資金拠出をすべきである。

  我々は、全国の被災者、支援者、市民らと連帯して、全てのアスベスト被害の救済と根絶のため、引き続き奮闘する決意である。

                                      以上