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東京1陣訴訟(差戻審)・東京高裁判決(声明)

2026.07.29

建材メーカー訴訟

2026年7月29日、東京高裁第24民事部(増田稔裁判長)において、首都圏建設アスベスト東京1陣訴訟(差戻審)の被害者32名のうち新設建材を取り扱った8名について、建材メーカー3社(エーアンドエーマテリアル、太平洋セメント、ニチアス)の責任を認める一方、改修解体作業者24名(解体工、とび、鉄骨工、はつり工等)の請求を否定する判決が言い渡されました。


実際の改修解体作業の現場では、20年、30年以上が経過しても、建材メーカーが刻印等で表示した製品番号やメーカー名が建材に残っているのが常態です。

建材メーカーが、石綿建材にラベルや刻印で石綿の危険性を表示していれば、改修解体作業者もばく露を防止することができたはずであり、建材メーカーの責任を否定した判決は不当です。


○共同通信:アスベスト訴訟、3社に賠償命令 差し戻し審、東京高裁判決
声明-建設アスベスト訴訟東京1陣東京高裁判決-(pdf)

声   明

-建設アスベスト訴訟東京1陣東京高裁判決-

1 本日、東京高等裁判所(第24民事部・裁判長増田稔裁判官)において、建設アスベスト東京1陣訴訟に関して、建材メーカーである1審被告(A&AM、太平洋セメント、ニチアス)に対して1審原告8名(被災者単位で8名)に対して、総額金2143万円の支払いを命じる一部勝訴判決であった。この判決は、2025(令和7)年8月7日に和解に至らなかった、改修解体作業者である原告41 名(被災者32名)に関する判決である。

2 本判決は、改修解体作業について建材メーカーの一般的な注意義務違反を認めず、改修解体作業者(解体工・鳶・鉄骨工・はつり工等)である1審原告33名(被災者24名)の請求を棄却したが、他方、改修解体作業者であっても、一部新しい建材を使用した屋内粉じん作業に従事したことが認められた1審原告8名(鉄骨工4名、鳶3名、はつり工1名)の請求を認容するものであった。この点では、板材、吹付け材、保温材について、シェアに基づき建材企業の責任を認容できることを改めて確認した点は評価できる。

3  首都圏建設アスベスト訴訟では、多数の被災者による原告団、原告弁護団、支援組織が団結し「謝れ、償え、なくせ、アスベスト被害」を掲げて長年にわたり取り組んできた。東京1陣訴訟を、2008(平成20)年5月16日、国及び建材メーカーらを被告として東京地裁に提訴し、2021(令和3)年5月17日に最高裁判決(令和3年最高裁判決)が言い渡された。本訴訟は、上記最高裁判決により東京高裁に差し戻された訴訟であり、本判決は提訴してから約18年後に出された差戻審高裁判決である。

4  差戻審である東京高裁では、2025(令和7)年8月7日、1審原告372名(被災者単位285名)のうち1審原告328名(同253名)と1審被告7社(ニチアス、A&AM、MMK、ノザワ、太平洋セメント、日東紡績、ナイガイ)との間で7社が謝罪し和解金(和解金額総計約40億円。和解金認容1審原告302名(同234名))を支払う内容の和解が成立し、また共同不法行為責任が認められなかった建材メーカー5社(神島化学、日本インシュレーション、バルカー、DAIKEN、日鉄ケミカル&マテリアル)との間でも被災者に弔意とお見舞いを表明して和解が成立していた。なお、同日には東京2陣訴訟においても1審原告114名(被災者98名)との間で和解が成立した。全国で最大規模の東京1陣・同2陣の建設アスベスト訴訟において、上記1審被告17社と1審原告合計446名(被災者351名)との間で和解が成立したことは画期的な成果であった。

5 しかし、東京1陣訴訟の改修解体作業者(解体工・鳶・鉄骨工・はつり工等)である1審原告41名(被災者32名)について、本日判決が言い渡された。改修解体作業者については、2022(令和4)年6月3日の神奈川2陣訴訟最高裁判決(令和4年最高裁判決)が、建材メーカーの注意義務を認めない判断を示していた。下級審における限定的な事実認定を前提とし、かつその評価も誤ったものであり、極めて不当な判断であった。

  本判決も、改修解体作業に関して、石綿建材に石綿の危険性をラベルや刻印等で表示しても、長期間の経過後に行われる改修・解体時には劣化などにより表示が消えるため、表示等をしても結果を回避できないとした令和4年最高裁判決を踏襲して建材メーカーの注意義務を否定した。しかし、実際には20年、30年以上経過しても、建材メーカーが刻印等で表示した製品番号やメーカー名が建材に残っているのが常態である。令和4年最高裁判決を無批判に踏襲して被害者の救済を拒んだ、極めて不当な判決と言わざるを得ない。

6 1審原告らは、本判決に対して上告及び上告受理申立てを行い、最高裁においてその誤りの是正を求める。先般、5月21日の京都2陣訴訟の大阪高裁判決及び5月28日の東京2陣訴訟の東京高裁判決も、改修解体作業者に対する建材メーカーの責任を否定した。両訴訟も最高裁への上告及び上告受理申立てを行っている。このように改修解体作業の救済問題は最高裁に複数の事件が係属するに至っている。改修解体作業及び屋外作業問題は、最高裁での新たなたたかいがはじまる。

また、今後は、新たな立証がなされた東京3陣訴訟(東京地裁)及びさいたま1陣訴訟(さいたま地裁)の判決も予定されている。さらに、神奈川3陣訴訟の東京高裁での審理をはじめ、全国で改修解体作業に関する建材メーカーの責任を問う訴訟が係属している。

私たちは、全国の原告らとともに、今後も被害の拡大が確実視される改修解体作業及び屋外作業について、建材メーカーの責任を明らかにするための取り組みを一層強める決意である。

2026(令和8)年7月29日

首都圏建設アスベスト東京1陣訴訟原告団

首都圏建設アスベスト訴訟弁護団

首都圏建設アスベスト訴訟統一本部