2026.07.30
建材メーカー訴訟
2026年7月29日、大阪地裁第13民事部(成田晋司裁判長)は、建設アスベスト関西1陣訴訟の被害者27名全員について、建材メーカー8社(エーアンドエーマテリアル、エム・エム・ケイ、ニチアス、DAIKEN、日東紡績、ノザワ、パナソニックホールディングス、太平洋セメント)の責任を認める原告勝訴の判決を言い渡しました。
敗訴した建材メーカーは、控訴せず、速やかに被害者救済を行うべきです。
また、有責と判断されなかった建材メーカーも、危険な石綿含有建材を製造・販売し続けた以上、社会的責任は免れません。
建材メーカーらは、建設作業従事者のアスベスト被害の救済のため、補償基金制度の創設に向けて動き出すべきです。
○声明(建設アスベスト関西1陣訴訟・大阪地裁判決を受けて)(pdf)
2026年7月29日
声 明
(建設アスベスト関西1陣訴訟・大阪地裁判決を受けて)
アスベスト訴訟関西弁護団
1 本日、建設アスベスト関西1陣訴訟において、大阪地方裁判所第13民事部(成田晋司裁判長)は、原告61名(被災者27名)の損害賠償請求について、被告の株式会社エーアンドエーマテリアル、株式会社エム・エム・ケイ、ニチアス株式会社、DAIKEN株式会社、日東紡績株式会社、株式会社ノザワ、パナソニックホールディングス株式会社、太平洋セメント株式会社の8社に対し、総額約4億5675万円の支払を命じる原告勝訴の判決を言い渡した。
2 本件は、建設作業従事者である被災者らが建設現場で使用された石綿含有建材から飛散した石綿粉じんに曝露した結果、肺がんや中皮腫などの重篤な石綿関連疾患に罹患したこと又は同疾患により死亡したことについて、被災者本人又はその遺族が石綿含有建材を製造・販売した建材メーカーに対し、警告表示義務違反を理由として損害賠償を求めた事案であり、全国各地の建設アスベスト集団訴訟の一つである。
3 本判決は、建材メーカーの共同不法行為責任を認めた2021(令和3)年5月17日最高裁判決、その後に全国各地の地方裁判所・高等裁判所で積み重ねられた建材メーカーの共同不法行為責任を認める判決を踏まえ、石綿含有建材の製造・販売について、一定のシェアを有する建材メーカーの責任を改めて明確にしたものである。
判決の内容をみると、被告建材メーカーの予見可能時期については、吹付材以外の建材については1973(昭和48)年とし、警告表示義務の始期を1974(昭和49)年1月1日とした。有責企業の範囲については、各被災者の作業現場に有責企業の石綿含有建材が到達したことを要するとしたうえ、まず、被災者らの供述する建材名などで有責企業を特定し、次に、一定の種類の石綿含有建材についてはシェア論により有責企業を特定するという判断手法を採用した。
他方で、寄与度による減額を認めた。有責期間(警告表示義務の始期)以前の石綿曝露については有責期間との比率を、有責期間内の主要原因建材(特定主要原因建材)以外の建材からの石綿曝露をそれぞれ考慮し、被災者ごとに寄与度に応じた減額を行った。
被災者らの損害については、肺がん、中皮腫又はびまん性胸膜肥厚に罹患した生存原告の慰謝料は2750万円、死亡した被災者の慰謝料は2950万円などとした。
いずれの点についても、これまでの裁判例の到達点をおおむね踏襲したものである。
4 しかしながら、本件訴訟の審理期間は、2020(令和2)年12月21日の第1次提訴から数えると、およそ5年7か月もの長期間に及んでいる。その間に石綿関連疾患により亡くなった原告は5名にのぼる。
本判決において敗訴した被告建材メーカーにおいては、控訴をすることなく、速やかに被災者の救済を行うべきである。また、本件訴訟で責任の認められなかった被告建材メーカーにおいては、有害・危険な石綿含有建材を製造・販売し、建設作業現場での深刻なアスベスト被害の原因の一端を担っていることは否定できないのであるから、その責任を果たすため、被災者救済のための補償基金制度を創設するべきである。
5 アスベスト訴訟関西弁護団は、本判決を受けて、今後も全国の被災者及び支援者らと連携し、アスベスト被害者の早期救済とアスベスト被害の根絶をめざし、引き続き全力を尽くしていく所存である。
以上