2026.08.28
建材メーカー訴訟
2026年8月28日、東京地裁民事第31部(堀内元城裁判長)は、首都圏建設アスベスト東京3陣訴訟の被害者74名について、建材メーカー4社(エーアンドエーマテリアル、ニチアス、ノザワ、エム・エム・ケイ)の責任を認める判決を言い渡しました。
本判決により、既に和解した原告を含め86%に相当する被害者が救済されました。
もっとも、屋外作業者、解体作業者との関係で建材メーカー責任を認めなかった点や、2006年9月以降に改修作業に従事した被害者1名に対する国の責任を否定した点など、課題も残されています。
私たちは、すべての建設アスベスト被害者が救済されるよう、今後も全力で取り組んでいく決意です。
声 明
-建設アスベスト訴訟東京3陣東京地裁判決-
1 本日、東京地方裁判所において、建設アスベスト東京3陣訴訟(民事第31部・裁判長堀内元城裁判官、裁判長渡辺諭裁判官代読)の判決が言い渡された。
2 本判決は、建材メーカーとの関係で、原告91名(被災者74名)に対して、A&AM、ニチアス、ノザワ及びMMKの不法行為責任を認めて総額7億5229万8565円の支払を命じた。一方、改修解体作業者及び屋外作業者のいずれについても建材メーカーの責任を認めなかったほか、建材メーカーのうち石綿吹付け材を製造販売した太平洋セメントらの責任について認めなかった。
本判決は、既に和解した原告を含め86%に相当する被災者を救済した点、また1975(昭和50)年以前の石綿粉じん作業歴のある被災者についても賠償金減額を認めなかった点などで、東京1陣・東京2陣訴訟で示された和解の流れを引き継いだものとして一定の評価ができる。
他方、建材メーカーらについて、屋外作業者との関係で予見可能性がないとした点、改修解体作業者との関係で注意義務を負わないとした点は、誤った最高裁判決をそのまま踏襲しており、いずれも不当な判断である。
また、建材メーカーのうち石綿吹付け材を製造販売した太平洋セメントらの責任を否定したことも極めて不当である。石綿吹付け材は極めて飛散性が高く、石綿関連疾患を生じさせた主要な石綿建材であることから、太平洋セメントらの責任を免責することは許されない。特に、石綿含有吹付けロックウールについては東京1陣・東京2陣訴訟の東京高裁、及び大阪2陣・3陣訴訟の大阪高裁が、太平洋セメントの責任を認めているにもかかわらず、東京地裁が本件でこれを否定したことは到底承服することはできない。
3 本判決は、国の責任について、国は2005(平成17)年2月24日に石綿則を制定したり、パンフレットを作成したりするなど規制を強化したのであるから、国の対応が著しく不合理であったとはいえないとして、2006(平成18)年9月以降に改修作業に従事した原告1名に対する国の責任を否定し、原告の請求を棄却した。
しかし、最高裁が国の違法性を認める根拠とした1975(昭和50)年の警告表示方法通達は2005(平成17)年の石綿則制定時においても改正されることなく、今日まで放置されているのであるから、国の違法状態は続いていると解すべきである。また、改修・解体作業者の石綿粉じん曝露を防止するためには事業者による事前調査が極めて重要であり、国は規制権限を適時かつ適切に行使して事前調査に関する規制を強化すべきであったにもかかわらず、石綿則制定時においても基本的な見直しはなされず、その後も見直しを怠ってきたのであるから、国の違法は明らかである。
これらの点を全く無視し、国の責任を否定した本判決は極めて不当であり、控訴審において改めさせなければならない。
4 以上より、原告らは、敗訴部分については控訴し、控訴審においてその誤りの是正を求めるものである。私たちは、全国の原告らとともに、今後も被害の拡大が確実視される改修解体作業及び屋外作業などの救済も含め、国及び建材メーカーの責任を明らかにするための取り組みとともに、建材メーカーが建設アスベスト補償基金に拠出して被害者に裁判することなく補償するための建設アスベスト給付金法改正につなげていくよう取り組みを一層強める所存である。
2026年8月28日
首都圏建設アスベスト東京3陣訴訟原告団
首都圏建設アスベスト東京3陣訴訟弁護団
首都圏建設アスベスト訴訟統一本部