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建設アスベスト訴訟東京3陣の和解案提示・東京5陣提訴(声明)

2025.12.26

建材メーカー訴訟

2025年12月24日、東京地方裁判所民事第31部(堀内元城裁判長)において、首都圏建設アスベスト東京3陣訴訟の和解案が提示されました。


また、同日、東京地裁に新たに東京5陣訴訟が提訴されました。


私たちは、裁判での早期和解を求めつつ、建材メーカーからも賠償金を受け取れるよう建設アスベスト給付金法の改正を求めて、今後も最善を尽くします。


声明-建設アスベスト訴訟東京3陣の和解案提示・東京5陣提訴ー(2025年12月24日)(pdf)


声    明

ー建設アスベスト訴訟東京3陣の和解案提示・東京5陣提訴ー


1(結論)

  本日、東京地方裁判所民事第31部(裁判長堀内元城裁判官、木村太郎裁判官、山中優太裁判官)は、建設アスベスト東京3陣訴訟(原告105名[被災者94名])に関して、和解案を提示した。この和解案の骨子は、原告90名[被災者86名]に対して、被告A&AM、同ニチアス、同ノザワ及び同MMKらの不法行為責任を認めて総額11億4530万円の和解金を支払えというものであった。しかし、和解対象者のうち原告15名[被災者8名]の損害賠償請求は認容しなかった。

2(経過)

  東京3陣訴訟は、2020年3月4日に東京地裁に提訴した(原告127名[被災者100名])。2021年5月17日には、最高裁判決が先行の東京1陣訴訟に関して、国及び建材メーカーらの責任を認める判決を言い渡した。この最高裁判決を受けて、国と原告団らは基本合意書を締結して、国の責任については早期和解をすることを国と合意した。そこで、東京3陣訴訟においては被災者99名が国との間で既に和解している。しかし、建材メーカーらは東京3陣訴訟においても自らの責任を争っている。東京3陣訴訟は5年もの審理を経て本年2025年7月16日に結審した。結審時には、東京地裁民事第31部は和解による解決が望ましいとして和解案の提示を予告していた。

3(東京1陣・2陣の和解)

  その後、本年8月7日、東京高等裁判所にて、東京1陣訴訟及び東京2陣訴訟について建材メーカーらとの間で和解が成立した。東京1陣訴訟では、1審被告7社(ニチアス、A&AM、MMK、ノザワ、太平洋セメント、日東紡績、ナイガイ)が原告らに謝罪し和解金(和解金額総計約40億円。和解認容1審原告302名[被災者234名])を支払う内容の和解が成立した。東京2陣訴訟では、1審被告5社(ニチアス、太平洋セメント、A&AM、MMK、ノザワ)が謝罪し和解金(和解金額総額約11億円。和解認容1審原告98名[被災者82名])を支払う和解が成立した。

  この東京1陣・2陣訴訟の和解は、全国初の被災者300名を超える集団的で大規模な和解であった。また、翌8月8日は大阪高等裁判所でも、大阪2陣・3陣訴訟について建材メーカーらと和解するに至った。これら高等裁判所での和解は、建材メーカーとの早期和解の道を広げる画期的な成果であった。

4(和解案の評価)

   本日の東京3陣訴訟の東京地裁和解案は、和解対象の被災者105名のうち被告4社(被告A&AM、同ニチアス、同ノザワ及び同MMK)の不法行為責任を認めたもので、被災者8名を救済しなかったものの、和解対象の91.5%の被災者を救済した点、また1975年以前の石綿粉じん作業歴のある被災者についても賠償金減額を認めなかった点などで、東京1陣・東京2陣訴訟で示された和解の流れを引き継いだものとして一定の評価ができる。その点では、和解案で責任を認められた被告ら4社は裁判所の和解案を受け入れて早期解決に応じるべきである。

5(問題点)

  他方、屋外作業者については被告らに予見可能性がないとした点、改修解体作業者に対して被告らは注意義務を負わないとした点は、誤った最高裁判決をそのまま踏襲しており、不当な判断である。この点については、東京地方裁判所での判決を求め、控訴審において是正を求めていくことになる。

  また、被告ら建材メーカーのうち石綿吹付け材を製造販売した被告太平洋セメントらの責任を否定したことは極めて不当である。石綿吹付け建材は極めて飛散性が高く、石綿関連疾患の主要なばく露建材であるにもかかわらず、被告らの責任を免責することは許されない。特に、石綿含有吹付けロックウールについては東京1陣・東京2陣訴訟の東京高裁、及び大阪2陣・3陣訴訟の大阪高裁が、太平洋セメントの責任を認めているにもかかわらず、東京地裁が本件でこれを否定した点ことは到底受け入れることはできない。そこで、原告らは、石綿吹付け材を製造販売した被告太平洋セメントらが責任を負わないとの和解には応じることはできず、今後、原告団と協議の上、控訴審において是正を求めるほかはないと考える。これ以外の主要ばく露建材(ボード3種、保温材、石綿セメント円筒、混和材)を製造販売した被告メーカーらとの関係では早期和解を求めていくことになる。

6(5陣提訴と建設アスベスト給付金改正)

  また、本日、東京地方裁判所に東京5陣訴訟を新たに提訴した(原告47名[被災者38名]、被告建材メーカー18社)。現在、東京4陣訴訟は東京地方裁判所第4民事部に係属中である(原告130名[109名])。このままでは今後、発生する多数の被害者も、建材メーカーから賠償を受けるには訴訟提起せざるをえず、迅速な救済が実現しない現状にある。国については、2021年5月の最高裁判所判決を踏まえて制定された建設アスベスト給付金法に基づき、現在まで約9000人の被害者に裁判することなく給付金が支給されている。

そこで、被害者が訴訟提起をすることなく、建材メーカーから賠償金を受け取れる建設アスベスト給付金法の改正が強く求められているところである。われわれは建材メーカーの責任を裁判上、明確にするとともに建設アスベスト給付金の改正するために、今後も訴訟と運動の取り組みを強める所存である。

2025年12月24日

首都圏建設アスベスト東京3陣訴訟原告団

首都圏建設アスベスト東京3陣訴訟弁護団

首都圏建設アスベスト訴訟統一本部