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全国初!ノザワと和解成立 ー 建材メーカー訴訟の早期解決へ向け、大きな前進 ー

2023.05.19

建材メーカー訴訟

2023年5月19日、首都圏建設アスベスト神奈川1陣訴訟(東京高裁第2民事部・谷口園恵裁判長)において、被告ノザワと左官工4名の和解が成立しました。

専属下請けにあった被災者を除くと、全国で初めての和解。早期解決、全面解決へ向けての大きな一歩です。



建設アスベスト訴訟神奈川第1陣訴訟・差戻審和解に際しての声明(2023年5月19日)(pdf)


○NHK:建設アスベスト訴訟 建材メーカーと一部原告で和解成立
○時事通信:建材メーカーと作業員ら和解 建設石綿訴訟、全国2例目―東京高裁

○日本経済新聞:建設石綿、メーカーと元労働者らが2例目和解 東京高裁



建設アスベスト神奈川第1陣訴訟・差戻審和解に際しての声明

                     2023年5月19日

                 首都圏建設アスベスト神奈川訴訟原告団

                 首都圏建設アスベスト神奈川訴訟弁護団

                 首都圏建設アスベスト統一本部

                 建設アスベスト訴訟全国連絡会


1 一昨年5月17日、最高裁判所は、首都圏建設アスベスト神奈川第1陣訴訟(以下「神奈川1陣訴訟」という)をはじめとした4訴訟につき、国、建材メーカーらの責任を認める判決を言い渡した。

 これをふまえて国は、判決の翌日、菅首相自ら、原告団の代表らと直接面談の上、原告らに謝罪し、同日の夕刻厚労大臣が、基本合意書に調印した。

 そして、現在までに、全国で大半の原告との和解が成立する一方、同年6月には、未提訴被災者に対して国の責任部分についての補償を行政手続によって行う建設アスベスト給付金法が成立し、本年4月時点で既に3900名余の救済が実現するに至っている。

2 これに対して建材メーカーらは、最高裁で責任が確定した原告に対して、三下り半の謝罪文を送付するのみで、原告らの直接の面会の上で謝罪を求める要請も一切拒否している。

 のみならず、裁判で賠償金の支払いが確定した原告に対しては、確定判決に従い賠償金を支払うものの、訴訟や判決が確定しない限り係争中の事件に関しては、一切和解に応じることなく、全面的に訴訟上争う対応を続けており、早期迅速な解決に応じようとしない。

 さらに、原告らが求めている、国が創設した給付金制度に建材メーカーらも参加して、給付金制度を拡充することの検討すらしようとしていない。

3 建設アスベスト訴訟は間もなく提訴から15年を迎え、神奈川1陣訴訟にあっては、当初の被災原告中、生存原告はわずか4名となってしまっている。

 このことに象徴されるように、本件の解決は、一刻の猶予も許されない、喫緊の課題となっている。

4 こうした中、昨年11月22日、東京高裁第2民事部(渡部勇次裁判長:当時)において、最高裁から差戻しとなっていた神奈川1陣訴訟が結審するにあたり、渡部裁判長から、本件は和解による早期解決が望ましいとして、和解勧告があり、その後の和解協議の結果、本日、ノザワと左官工として建築作業に従事した者を被災者とする控訴人ら4名との間で和解が成立した。

 その内容は、被告ノザワが、前記最高裁判決において、建材メーカーが製造販売した石綿含有建材が個別の被災者に相当回数にわたり到達したと認められるなどの要件の下で、建材メーカーが石綿含有建材への警告表示義務の懈怠につき民法719条1項後段の類推適用により損害賠償義務を負うと判断されたことを厳粛に受け止め、同最高裁判決等を踏まえ、控訴人らに深くお詫びし、控訴人らに対し、解決金を支払うというものである。

5 建設アスベスト訴訟において、建材メーカーとの間で和解解決をみたのは、専属下請け関係にあった原告1名との間で成立した和解を除くと、今回が全国で初めてのケースである。

 今回のノザワとの和解は、ノザワが製造・販売した建材が原告ら4名の作業場に到達したことを認め、原告4名との間で不法行為責任を認めて和解したものである。他の建材メーカー5社(ニチアス、A&AM、MMK、太平洋セメント、大建工業)が和解を拒否したところ、ノザワが上記の不法行為責任を認めて和解する決断をしたことは、遅きに失したとはいえ、大いに評価できるところである。

 これまで解決に背を向け続けてきた建材メーカーらの1社が和解解決に舵を切ったことは、他の建材メーカーも含めて早期和解、全面解決に向けて足を踏み出す大きな転機になるものとして歓迎するものである。

6 今後に向けて、本件訴訟で裁判所の和解勧告を無視して和解解決を拒否した上記5社をはじめとした建材メーカーらが、今回の和解解決を真摯に受け止め、早期解決のため、首都圏建設アスベスト東京訴訟をはじめとした、係属中の全ての訴訟において和解協議に誠実に応じ、給付金制度への参加と財源負担を決断することを、強く求めるものである。

                                 以上