2023.07.03
建材メーカー訴訟
2023年6月30日の関西建設アスベスト大阪2陣・3陣訴訟で、大阪地裁(石丸将利裁判長)は過去最多12社の建材メーカーの責任を認め、損害賠償額も従来の判決より大きく引き上げました。
「呼吸器疾患の方もおられますが、マスクを外してもいいですか」と断ってから判決要旨を朗読。
被害についても詳細に言及する異例の判決要旨で、法廷は静まりかえりました。
建材メーカーは、判決を真摯に受け止め、速やかに解決を決断すべきです。
以下、「被害の状況」について述べた判決要旨の抜粋です。
○被害の状況
被害の状況については、個別に差異はあるものの、石綿にばく露したことにより肺がんにり患した被災者は、血痰、慢性的な激しい咳、喘鳴、胸痛、息切れなどに苦しみ、石綿にばく露したことにより胸膜中皮腫にり患した被災者は、咳、胸痛、息切れ、呼吸困難などに苦しみ、石綿にばく露したことにより石綿肺にり患した被災者は、咳、痰、息切れ、呼吸困難などに苦しみ、石綿にばく露したことによりびまん性胸膜肥厚にり患した被災者は、咳、痰、呼吸困難などに苦しみ、いずれにせよその身体的な苦痛は甚だ大きいものがある。
上記のような症状により、普段の日常生活の質は低下し、症状の進展具合によっては介護による生活も余儀なくされた上、非日常的な活動にも悪影響を与え、人生における楽しみも奪われる結果となった。
就労が困難又は不可能になり、職の全部又は一部を奪われ、これによる経済的な影響を無視することはできないことはもとより、経済的な不安や、発症するまでに培ってきた職業上の経験や知識を生かして、就労を通じて社会への貢献ができなくなることによる精神的な無念さも計り知れない。
自己の症状が石綿に由来することや石綿関連疾患の予後等を知った際や十分な治療法がないことを知った際の不安感や絶望感、通院や入院による種々の負担には看過しえないものがあり、とりわけ、手術を受けた被災者における術前の不安、手術及び手術後の身体的・精神的負担や、抗がん剤治療を受けた被災者における副作用に伴う身体的・精神的負担、咳や痰、激しい息切れ、呼吸困難から逃れられないことによる肉体的精神的な苦痛には大きいものがあり、もがき苦しむといってもよい状態の者さえあった。
そして、石綿関連疾患により死亡した被災者については、死に対する恐怖の末、生命を奪われるという最悪な結果を招来している。