MENU

北海道建設アスベスト1陣訴訟、最高裁で勝訴

2024.02.22

建材メーカー訴訟

2024年2月21日、最高裁第3小法廷に係属していた北海道建設アスベスト1陣訴訟について、建材メーカー4社(エーアンドエーマテリアル、ニチアス、エム・エム・ケイ、ノザワ)の責任が確定しました。


2022年5月30日に出された札幌高裁判決は、基準慰謝料額を高い水準で認め、建材メーカーの責任割合を4~5割、責任始期を1974(昭和49)年と厳しく判断しています。最高裁は、この札幌高裁判決をそのまま認めました。


建材メーカーは、改めて法的責任が認められたことを真摯に受け止め、早期の全面解決へ向けて動き出すべきです。


【声明】北海道建設アスベスト第1陣訴訟最高裁上告不受理決定について(2024年2月22日)(pdf)


                                                                    2024年2月22日

声     明

北海道建設アスベスト第1陣訴訟最高裁上告不受理決定について

                       

                北海道建設アスベスト訴訟原告団・弁護団

1 最高裁裁判所第3小法廷は、北海道建設アスベスト第1陣訴訟について、本年2月21日付で、一審被告建材メーカーおよび一審原告双方の上告および上告受理申立について、上告棄却および上告を受理しない旨の決定をした。

この決定により、最高裁が2021年5月17日の判決において示した判断、すなわち建材メーカーらには警告表示義務違反があり、被災者のアスベスト疾患の主要な原因となった建材を製造・販売したメーカーらは民法第719条1項後段の類推適用により共同不法行為責任を負うとの判断を前提として、本訴訟における原告(被災者単位16名)のアスベスト被害に対する、株式会社エーアンドエーマテリアル、ニチアス株式会社、株式会社エム・エム・ケイ、及び株式会社ノザワ、合計4社の損害賠償責任が確定した。

2 また、今回の決定により、責任の始期および損害賠償基準額に関しての原判決の判断、すなわちメーカー責任の始期をこれまでの判決より1年早い1974年とした点、および損害賠償の基準となる金額をそれまでの高裁判決としては最も高い金額(アスベスト原因による死亡の場合で2800万円)とした点、がそれぞれ維持されることとなった。

このことは、全国の建設アスベスト訴訟にとって、大きな前進となったものと評価できる。

3 他方で最高裁は、原審において建材メーカーに対する請求が認められなかったために上告・上告受理申立をしていた3名の原告について、上告棄却・上告を受理しない旨の決定をした。

  これら3名の中には、解体作業に従事した被災者が含まれるが、解体作業者との関係でも有効な警告を行うことでアスベスト被害を防ぐことが十分可能であったのであるから、これらの作業者との関係でメーカーの責任が認められなかったことは、極めて不十分であるといわざるをえない。

また、2名の被災者については加害建材の被災者への到達等が認められなかったが、被災者の職歴等からしても、加害建材からのアスベスト曝露は当然認められるべきであったと考えられるから、この結果は極めて残念である。

4 尚、有責とされた企業の、基本となる責任割合については、企業の責任期間と原告のアスベスト曝露期間が重なる割合等により減額をして、4割ないし5割とする原判決の判断が維持されたが、神奈川第2陣訴訟において有責企業の責任割合を基本4分の3とする東京高裁の判断を最高裁が維持した例もあることに加え、昨年(2023年)6月30日の大阪第2・3陣訴訟では、10割、7割5分などの高い責任割合が認められた例をはじめ全体的みても本訴訟をより高い責任割合が認められていることからすれば、本件での責任割合は必ずしも十分とはいえないと考える。

5 ところで、本日の決定により、株式会社エーアンドエーマテリアルをはじめとする4社については加害責任が確定し、速やかに賠償義務を果たさなければならなくなったが、これら建材メーカーは、最高裁をはじめ全国の裁判所において繰り返し責任を認められているにもかかわらず、ごく一部の例外を除いて、未だに和解解決にも応じていない。

多くの被災者に対して、筆舌に尽くしがたい苦しみを与えておきながら、そして自らの責任がもはや否定する余地もないことを知りながら、最高裁で敗訴が確定するまで責任を争い続けるというその姿勢は極めて不当であって許しがたいものである。

加害責任を認められた被告メーカーは速やかに責任を認めて被災者に謝罪し、和解解決すべきである。

  また、本訴訟では有責とされなかった建材メーカーも、深刻なアスベスト被害をもたらすことを知りながら、被害防止措置を講じないまま、アスベスト含有建材の製造・販売を続けてきたことにかわりはないから、アスベスト建材を製造販売したすべての企業はその責任を自覚し、速やかに基金制度創設に応じるべきである。

6 私達北海道建設アスベスト訴訟原告団・弁護団は、本日の決定を受けて、全国の被災者、労働者、市民と連帯し、建設アスベスト被害者の早期完全救済とアスベスト被害の根絶のため、一層力を尽くすことをあらためて決意するものである。

                                   以 上