2025.08.07
建材メーカー訴訟
2025年8月7日、首都圏建設アスベスト東京1陣訴訟(東京高裁第24民事部・増田稔裁判長)が午後1時10分に、同東京2陣訴訟(同第17民事部・吉田徹裁判長)が午後2時に、建材メーカーらとの間で和解しました。
建設アスベスト被害の救済にとっては、2021年最高裁判決以来の大きな前進です。
8月8日には、関西建設アスベスト大阪2陣・3陣訴訟も大阪高裁で和解予定です。詳しくは、大阪アスベスト弁護団のホームページをご覧ください。
○声明-建設アスベスト訴訟東京1陣・同2陣の東京高裁和解成立-(2025年8月7日)(pdf)
声 明
-建設アスベスト訴訟東京1陣・同2陣の東京高裁和解成立-
1 本日、東京高等裁判所において、建設アスベスト東京1陣訴訟(第24民事部・裁判長増田稔裁判官、藤倉徹也受命裁判官)、同東京2陣訴訟(第17民事部・裁判長吉田徹裁判官、榮岳夫受命裁判官)において、1審被告ら建材メーカーと1審原告らとの間での和解が成立した。
2 東京1陣訴訟では1審原告372名(被災者単位285名)のうち1審原告332名(同253名)と1審被告7社(ニチアス、A&AM、MMK、ノザワ、太平洋セメント、日東紡績、ナイガイ)との間で7社が謝罪し和解金(和解金額総計約40億円。和解金認容1審原告302名(同234名))を支払う内容の和解が成立し、また共同不法行為責任が認められなかった建材メーカー5社(神島化学、日本インシュレーション、バルカー、大建工業、日鉄ケミカル&マテリアル)との間でも被災者に弔意とお見舞いを表明して和解が成立した。
東京2陣訴訟では1審原告131名(同112名)のうちの114名(同98名)と1審被告5社(ニチアス、太平洋セメント、A&AM、MMK、ノザワ)との間で5社が謝罪し和解金(和解金額総額約11億円。和解認容1審原告98名(同82名))を支払う和解が成立し、また共同不法行為責任が認められなかった建材メーカー12社(ナイガイ、日東紡績、神島化学、日本インシュレーション、バルカー、AGC、大建工業、日鉄ケミカル&マテリアル、ウベボード、クボタ、ケイミュー、ニチハ)も被災者に弔意とお見舞いを表明して和解が成立した。ただし、積水化学工業は、他社と異なり被災者への弔意とお見舞い意思の表明を拒否し判決を選択した。
3 全国で最大規模の東京1陣・同2陣の建設アスベスト訴訟において、上記の1審被告17社と1審原告合計446名(同351名)との間で和解が成立したことは画期的な成果である。
なお、東京1陣訴訟の改修解体作業の原告40名(同32名)、東京2陣訴訟の改修解体作業及び屋外作業の原告17名(同14名)については、和解ではなく、両高裁にて今後、判決が言い渡される。
4 首都圏建設アスベスト訴訟は、多数の被災者ら原告団、原告弁護団及び支援組織が団結して「謝れ、償え、なくせ、アスベスト被害」を目標に長年にわたり取り組んできた。東京1陣訴訟は、2008(平成20)年5月16日、国及び建材メーカーらを被告として東京地裁に提訴し、2021(令和3)年5月17日に最高裁判決(以下「令和3年最高裁判決」という。)が言い渡されたが、建材メーカーについて東京高裁に差戻された事件である。差戻審である東京高裁が、2024(令和6)年12月26日に和解案を提示した。東京地裁提訴から17年が経過し、既に被災者の9割以上が亡くなっている。東京2陣訴訟は、東京1陣訴訟に続き、2014(平成26)年5月15日に、国及び建材メーカーらを被告として東京地裁に提訴し、2020(令和2)年9月4日、原告らの請求を一部認容し国及び建材メーカーらの責任を認める東京地裁判決が出されたが、双方が控訴して、控訴審での審理を経て、2025(令和7)年1月31日に東京高裁が和解案を提示した。東京2陣訴訟も提訴から11年が経過して、既に被災者の8割が亡くなっている。
その後、東京高裁にて半年かけて和解協議が進められ、本日ようやく両事件において和解が成立した。
5 本件和解成立の意義は、1審被告建材メーカー7社が、石綿含有建材の製造販売について警告表示義務違反及び共同不法行為責任を認めて、1陣・2陣の合計1審原告446名(同351名)との和解に応じて本件を解決したこと、和解対象となった1審原告らに対して「石綿含有建材の製造販売に際し適切な警告表示を怠ったことにより石綿関連疾患による甚大な被害を生じさせたことについて深くお詫びする」と表明したこと(和解条項3項)、さらに共同不法行為責任を認められなかった1審被告建材メーカー(積水化学工業を除く。)も含めて石綿関連疾を原因として亡くなられた被災者への弔意と療養中の被災者に対しての心よりのお見舞いする意を表明したこと(和解条項2項)である。これは遅すぎたとはいえ、評価できる。
また、東京高等裁判所が前文にて「現在継続中の同種訴訟を含めた関連する事案において、双方が今後とも引き続き、早期解決に向けた真摯な努力を継続することを強く期待する」と表明したことは、今後、全国の関連訴訟の「早期の全体解決」を促進するものであり、高く評価できるところである。
6 現在、東京1陣訴訟及び同2陣訴訟を含めて、全国各地において、建設アスベスト訴訟が31件、被災者総数1218名が訴訟係属中である。
今回の東京1陣・2陣の和解成立によって、全国の建設アスベスト訴訟のうち約3割の被災者につき和解が成立したことになる。令和3年最高裁判決を踏まえ、裁判所が1審被告らの建材現場到達事実を認定して共同不法行為責任の範囲等を和解案で明らかにすれば、判決に至らなくとも、早期の和解解決を図るという解決ルールを示したことになる。これにより、現在係属中、あるいは今後提訴される同種関連訴訟においても早期解決の見通しを示したものといえる。
7 一方、屋外作業者については令和3年最高裁判決、また改修解体作業者については2 022(令和4)年6月3日の最高裁判決(神奈川2陣)が建材メーカーの注意義務を認めないという誤った判決を下した。1審原告らは、引き続き、これらの最高裁判決の誤りを是正するために本事件及び他の地裁や高裁での取り組みを強めていくものである。
8 建設アスベスト給付金制度により、2025(令和7)年7月時点で8500名を超える被害者に国から給付金が支払われている。しかし、この給付金は国の責任負担部分(慰謝料の2分の1)に限定されたものである。この和解成立を契機にして、私たちは、あらためて、石綿建材を製造販売した建材メーカーが被害への寄与の程度に応じて賠償金を負担するために建材メーカーに建設アスベスト補償基金への拠出を義務づけ、全ての建設アスベスト被害者が裁判によらず早期救済を可能とする建設アスベスト給付金法の改正を強く求めるものである。
2025年8月7日
首都圏建設アスベスト東京1陣・同2陣訴訟原告団
首都圏建設アスベスト東京1陣・同2陣訴訟弁護団
首都圏建設アスベスト訴訟統一本部